幻想魚「アオハダ・ヒカリスズ」

 





青い魚で、鱗は虹色に輝く。
頭の感覚器は敏感に水流を察知し、複数の鈴が微妙な振動を発する。
何のために振動を発するかは不明であるが、鈴の微細な振動が人体の無意識に作用し、眠りから意識を浮上させると思われる。



鱗が描く複雑な模様は人体内宇宙の海図に似ている。
高湿度中の生物循環を中心に研究する生物学者・布葦淳夫氏の研究によれば似ているように見えるだけで実用性はないようである。
実用性はないが鱗による模様の発生機序を探ることにより、人体内宇宙の解明も進むであろうとも述べている。



50年ほど前の農耕雨林では、当時安全性が確立していないにもかかわらず湿度の高い季節に安寧を求めて疑似遊泳を試みるものが後を絶たなかったが、「アオハダ・ヒカリスズ」の再発見によって住民に一種の落ち着きがもたらされ、以降疑似遊泳の件数は激減したとのこと。
住民たちが落ち着いたのは、アオハダ・ヒカリスズの鈴が発する微細な振動により意識レベルが向上したためではないかと考えられる。


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